受賞・表彰

第44回 日本関節病学会 学術集会奨励賞 受賞報告

弘前大学大学院医学研究科 整形外科学講座
大学院2年生 太田聖也

 この度、2016年11月11日から12日に大分県別府市で行われた第44回日本関節病学会において、学術集会奨励賞を受賞致しましたので報告申し上げます。この賞は、一般演題の中から抄録査読において8演題が候補としてノミネートされ、学会当日に審査員の先生方が口演の内容を評価・点数化し最終的に5名が表彰されるものです。
 私の演題名は「変形性膝関節症における下肢筋量と橈骨骨密度の関連」です。岩木健康増進プロジェクト参加者のうち、変形性膝関節症(膝OA)症例での下肢筋量と橈骨骨密度の関連を調査した横断研究です。
 対象は2015年の岩木健康増進プロジェクトに参加した682名の女性のうち、単純X線写真でKL grade 2以上の膝OA症例107名をOA群とし、対照としてKL 0-1の452名を非OA群としました。体組成計を用いて下肢筋量を測定し、骨密度は2015年より健診に導入した橈骨骨密度測定装置で測定しました。問診で閉経、KOOS Painを評価しました。それぞれの群での重回帰分析を行なって下肢筋量と骨密度の関連を検討しました。
 結果ですが、重回帰分析の結果、年齢、身長、体重、KL grade、閉経の有無、KOOS Painによる影響を補正後もOA群では下肢筋量と橈骨骨密度が有意に関連していました。一方で、非OA群では有意な関連を認めませんでした。近年は筋組織と骨組織の関連、筋骨連関という概念が注目されています。高齢化社会の著しい本邦では、筋量や筋力低下をきたした状態であるサルコペニアと骨粗鬆症の合併例が多いとされ、実際に筋量と骨密度の関連に関しては正の関連を示す研究が報告されており、筋組織と骨組織の相互に及ぼす影響を観察する研究が進められています。本研究の結果から、膝OA症例では筋骨連関が強く、骨格筋と骨組織相互への治療介入が重要である可能性が示唆されました。
 今回の受賞にあたり、研究の指導や調査の御協力を頂いた石橋教授を中心とする整形外科学講座のスタッフの皆様、岩木健康増進プロジェクトを主催する中路教授や高橋准教授を中心とした社会医学講座のスタッフの皆様をはじめとした関係者の皆様に深く感謝申し上げます。


第44回 日本関節病学会 学術集会奨励賞 受賞報告

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