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診療案内:脊椎・脊髄外科グループ

脊椎・脊髄外科グループ

脊椎・脊髄外科グループは、現在、和田 簡一郎、熊谷 玄太郎、浅利 享、新戸部 陽士郎の4人で診療を行っております。側弯症外来は上記4人に吉川 圭を加えた5人で行っております。当グループでは頚椎症性脊髄症、頚椎後縦靭帯骨化症をはじめとする脊柱靭帯骨化症、頚椎椎間板ヘルニア、腰部脊柱管狭窄症、腰椎椎間板ヘルニア、脊椎脊髄損傷、脊柱側弯症、脊髄腫瘍、キアリ奇形など脊椎脊髄疾患(背ぼねの病気)の診療を行っています。保存治療のほか、頚椎椎弓形成術、腰椎椎弓切除術、腰椎椎間板ヘルニア摘出術、脊椎除圧固定術、脊柱側弯症手術、脊髄腫瘍摘出術などを行っています。神経のモニタリング、ナビゲーション、顕微鏡、超音波などを用いて、手術の安全性向上に努めています。
外来診療は、火曜日の午前と水曜日の午後に脊椎外来、水曜日の午後に脊椎術後外来、金曜日の午前に側弯症外来の脊椎専門外来を行っております。


脊椎・脊髄グループ

頚椎症性脊髄症・頚椎後縦靭帯骨化症・胸椎脊柱靭帯骨化症

加齢変化により、椎間板の膨隆、骨のとげの形成など、頚椎症が生じ、頚椎の神経のとおり道(脊柱管)が狭くなることで、神経(脊髄)が圧迫されて症状(脊髄症)が出ます。日本人は、脊柱管が欧米人よりも小さいため、脊髄症が生じやすいといわれています。
症状としては、手足のしびれ、手や足の運動障害が生じます。手の症状としては、ボタンのつけ外し、箸の使用、字を書くことがしづらくなることなどが挙げられます。足の症状としては、歩行で足がもつれるような感じがする、階段の上り下りが不安定となり、手すりが必要になる、進行すると平らな場所の歩行でも杖などの支えが必要になるなどが挙げられます。高齢な患者様では、年のせいだと思ってしまい、気づくのが遅れることがあります。
神経診察による異常所見、単純X線検査での頚椎症の変化、MRIによる脊髄の圧迫所見などで診断がつきます。手足のしびれのみなど、症状の軽い場合は、症状の悪化や転倒による脊髄損傷に注意しながら、くびのカラー固定やお薬で治療することもあります。日常生活に支障があるような、手足の症状を認める場合は、手術を考慮します。

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腰部脊柱管狭窄症

加齢変化により、椎間板の膨隆、靭帯の厚みの増加、彎曲を伴う変形、あるいは骨のずれ(すべり症)により、脊柱管が狭くなり(狭窄)、神経が圧迫されることで症状が生じます。検査としては、単純X線、MRIを行います。足への動脈がつまる血行障害でも、似たような症状がでるため、足の血流検査も行う必要があります。腰の脊柱管は、腰を反らせると狭くなり、前にかがめると少し拡がるという特徴があります。このため、腰部脊柱管狭窄症では、腰を伸ばして歩いていると、足のしびれやつっぱり感が強くなります。一方で、歩行時に杖や押し車を使用したり、腰を前かがみにしたり、座ったりすると、その症状が軽減します。
重いあしの運動麻痺や神経性の排尿障害がなければ、薬物療法、リハビリテーション、コルセットなどの装具治療、神経ブロックなどがあり、これらで症状が軽減することもあります。しかし、これらの治療を行っても歩行障害などが改善せず、あるいは進行し、日常生活に支障がある場合、また運動麻痺や排尿障害の程度が重ければ、手術を考慮します。手術では、骨、靭帯を部分的に切除して、狭窄した脊柱管を拡大します。骨のずれや不安定性、変形の程度によっては、金属を用いた固定術を追加することがあります。

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腰椎椎間板ヘルニア

腰の椎間板は、背骨をつないで安定させるほか、クッションの役割も果たしています。椎間板は、線維輪という外枠の中に髄核が収まっている構造をしています。加齢変化などにより線維輪が断裂し、髄核の一部がでてきてしまうことがあり、これが腰椎椎間板ヘルニアです。
症状としては、腰や臀部の痛み、足のしびれや痛み、脱力などです。足の症状は、左右どちらか一方に生じることが多いですが、両足の症状、あるいは排尿の障害を伴う場合は、大きなヘルニアで重症である可能性があり、注意が必要です。痛みを避けるために、背骨が側方に曲がることもあります。
神経所見の診察、単純X線、MRIを行い、診断がつきます。MRIにて椎間板が突出していても、無症状である場合もあるため、その椎間板の部位と神経所見をあわせて診断をつける必要があります。
痛みやしびれのみの場合は、安静をこころがけ、コルセットを用いた装具治療を行います。炎症鎮痛剤、神経障害性疼痛治療薬などによる薬物療法、神経ブロックで痛みの軽減をはかります。痛みの軽減にあわせて、活動性をあげたり、運動療法を加えたりします。症状の軽減が十分でない場合は、椎間板内に酵素を注入する治療も考慮します。これらの保存治療で症状が軽減することが多いですが、満足のいく症状の軽減が得られず、日常生活に支障がある場合は、手術を考慮します。また、おしっこをしづらい、排便がしづらいなどの障害を伴う場合、足の運動麻痺が急にすすんで、重症な場合は、早めの手術も考慮します。


脊椎脊髄損傷

背骨の骨折や脱臼を脊椎損傷、神経である脊髄を損傷し、感覚や運動障害を生じたものを脊髄損傷です。それぞれ単独で生じる場合と一緒に生じる場合があります。脊髄損傷は損傷した部位から下の機能が低下し、完全麻痺と不全麻痺があり、完全麻痺はより重症です。手足、あるいは足が全く動かせず、感覚も失われた状態を完全麻痺といいます。交通事故や転落など強い力が加わり、受傷します。加齢変化や脊柱靭帯骨化症で背骨の神経の通りみちが狭くなっていると、立っている位置からの転倒など、軽い外力で脊椎損傷を伴わず脊髄損傷を生じることがあり、これを非骨傷性頚髄損傷といいます。社会の高齢化がすすみ、非骨傷性頚髄損傷は増加傾向にあります。重度な脊髄損傷は回復がしづらく、脊椎損傷、脊髄損傷は予防することが何より重要です。
けがのエピソードがあり、強い背骨の痛みや手足の麻痺を認める場合は、神経学的評価を行った上で、X線、MRI、CTを行い、診断をつけます。重度な脊髄損傷では、呼吸機能障害、血圧の低下などを生じることもあるため、全身管理が必要となります。カラー固定やコルセットでの固定による背骨を安定させながら、早期のリハビリテーションを計画していきます。脊椎の安定性が大きく損なわれている場合は、二次的な脊髄障害の悪化をさけるため、また全身管理や早期のリハビリテーションを安全に行えるように、手術で脊椎の安定化をはかります。手術としては、安定化させるための固定術、脊髄の圧迫をとりのぞく除圧術などが行われます。痛みやしびれに対しては薬物療法、残存する麻痺に対しては、リハビリテーションの継続、装具や車いすによる日常生活のサポートを行っていきます。


脊柱側弯症

背骨が左右に弯曲し、同時にねじれを伴うことが多い状態です。小児期に発症し、悪化することが多く、学校検診の運動器疾患の中で最も重要な疾患です。左右の肩、肩甲骨の高さの違い、肩甲骨の突出、左右の腰の高さの非対称がみられます。また、前かがみになると、肋骨や腰部の左右どちらかに隆起を認めるという特徴があります。進行すると、腰背部の痛みが生じたり、肺を取り囲む胸郭も変形するため、重症になると心肺機能の低下を生じることがあります。発生頻度は1~2%であり、女子に多いという特徴があります。
体表の所見で側弯症を疑えば、医療機関でX線を撮影し診断をつけます。また、神経学的な評価で異常を認める場合や神経症状を伴う場合は、MRIを検討します。初回の角度と身長増加のポテンシャルが、その後の進行に影響することが知られており、早期発見が重要です。
側弯が進行し、重症化する前に診断し、治療を開始することが大切です。治療は、側弯症の原因、重症度、年齢によって異なります。成長期には、進行予防が治療の目的となります。側弯が軽度の場合は、進行の有無を定期的に観察し、進行を認める場合は装具治療を行います。さらに重症化し、成人期以降も進行が心配な角度に達するようであれば、手術による矯正を検討します。
また、成人期以降に加齢変化を伴いながら脊柱側弯症、さらに前方へ体が傾いてくる後弯症が進行し、腰背部の痛みや疲労感、消化器症状が生じることがあります。成人期以降の脊柱側弯症の治療は、成長期の進行予防のためではなく、主に症状を軽減するために行われます。薬物療法、運動療法を中心としたリハビリテーション、装具治療が行われ、症状が重度で、日常生活への支障が大きい場合は手術も検討します。

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脊髄腫瘍

背骨には脊髄、馬尾といった神経がとおる脊柱管という管があります。神経は髄液に満たされたくも膜、さらに硬膜に包まれて、脊柱管内に収まっています。脊髄のなかに生じる腫瘍を髄内腫瘍、脊髄の外側で硬膜の中にできる腫瘍を硬膜内髄外腫瘍、硬膜の外側にできる腫瘍を硬膜外腫瘍とよびます。いずれの腫瘍にも、原発性腫瘍と転移性腫瘍があり、髄内腫瘍、硬膜内髄外腫瘍には原発性腫瘍、硬膜外腫瘍には転移性腫瘍が多いことが知られています。
腫瘍により神経が圧迫されると、しびれ、感覚障害、筋力の低下を生じることがあります。脳神経内科の病気との区別を要することがあり、時に複数の診療科で診察をする必要があります。神経学的所見、X線、CT、MRI、採血検査などを行い、診断をつけます。必要に応じて造影MRIや脊髄造影CTを行います。確定診断には、病理検査が必要となりますが、そのためには手術が必要となります。手術が必要かどうかについては、疑われる腫瘍の種類、症状、神経学的重症度、全身状態、年齢などを考慮し、検討します。手術は腫瘍の摘出術となりますが、疑われる腫瘍の種類、正常神経との関係や神経機能によって、どの程度の摘出が可能か、あるいは適切かを考えながら行われます。

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キアリ奇形・脊髄空洞症

脳や脊髄は、脳脊髄液という液体の中に浮かんでいます。脊髄空洞症は、脊髄の中にこの脳脊髄液がたまり、あたかも空洞ができたようになっています。脊髄が内側から圧迫されることで、感覚や運動の機能が低下することがあります。男女差はなく、20から30歳代に発症することが多く、脊柱側弯症と合併することもあり、若い患者さんでは側弯症の検査で診断されることがあります。原因はさまざまですが、代表的なものとして、小脳の一部が下垂し、くびの背骨に落ち込むキアリ奇形が挙げられます。
片側の手、うでの感覚障害や脱力で発症することが多く、温度や痛みの感覚が、触っている感覚よりも障害されやすいという特徴があります。触っている感覚はわかるのに、温度や痛みが感じづらい状態です。やけどや切り傷に気づくのが遅れることもあり、そのような怪我には十分注意が必要です。進行すると手足の脱力、痩せが生じます。神経学的所見、X線、MRIを行い、MRIで脊髄の内部の液体貯留、小脳の下垂などを確認することで診断がつきます。
しびれや痛みに対しては薬物療法を行います。手術としては、小脳の下垂のために脳脊髄液のスペースが狭窄している後頭骨と頭側の頚椎の一部を切除する後頭下減圧術やシャント術などが行われます。

脊椎・脊髄グループ

手術実績

2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020
外傷 10 14 11 14 5 9 9 23 24 22
変性疾患・靭帯骨化症(頚椎) 19 20 13 21 21 35 38 32 30 30
変性疾患・靭帯骨化症(胸椎) 3 6 3 9 5 7 12 12 10 6
変性疾患・靭帯骨化症(腰椎) 27 22 21 19 22 27 33 28 36 38
腫瘍 19 9 10 8 11 1 13 11 12 21
側弯 12 13 16 11 24 11 11 20 29 33
その他 1 10 10 12 7 13 4 3 3 9

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