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診療案内:骨・軟部腫瘍グループ

骨・軟部腫瘍グループ

骨・軟部腫瘍グループは、大鹿 周佐、山内 良太を中心に診療を行っております。頭頸部や中枢神経腫瘍を除くほぼ全ての領域の骨や軟部組織(筋肉、神経、血管、脂肪等)から発生する良・悪性腫瘍の診断及び治療を専門としています。稀少がん(人口10万人あたりの年間罹患率が6例未満のがん腫)である肉腫(原発性悪性骨・軟部腫瘍)は専門とする医師が少ないことから、青森県内はもちろん近隣県からも患者が訪れます。一施設としての症例数は全国的にみても多く、我々臨床医-放射線診断医-病理医間での円滑な情報交換(Jaffe’s triangle)のもと、迅速かつ正確な診断を行えるよう日々努力しております。
専門外来は毎週火曜日の午後に行っております。悪性腫瘍が疑われ急を要する症例などは、専門外来日に限らず随時対応しております。


はじめに

骨・軟部腫瘍とは、骨や軟部組織(筋肉、神経、血管、脂肪など)から発生する腫瘍の総称です。我々のグループでは、頭頸部や中枢神経を除くほぼ全ての領域の骨・軟部腫瘍の診断と治療を専門としています。骨・軟部組織(=非上皮組織)から生じる悪性腫瘍は「肉腫」と呼ばれ、上皮組織(消化管、気道、表皮など)から生じる悪性腫瘍である「癌」とは区別されます。「肉腫」は「癌」に比べて発生頻度が少ないため、稀少がん(人口10万人あたりの年間罹患率が6例未満のがん腫)と呼ばれます。稀少であるものの種類が豊富で病態も複雑であることから、診断や治療が難しい病気です。全国的にみても専門とする医師が少ないため、青森県内のほとんどの肉腫症例は我々のグループに紹介となります。

骨・軟部腫瘍には原発性と転移性があり、良性、中間、悪性に分類されます。
以下、分類ごとに代表的な病気やその特徴を紹介します。


1.原発性良性骨腫瘍

骨軟骨腫、内軟骨腫、単純性骨嚢腫、類骨骨腫などが代表的な疾患です。骨の出っ張りや疼痛などの自覚症状、または骨折を生じるなどして発見されます。時折、別な理由で単純X線を撮影して偶然気づかれることもあります。


2.原発性中間骨腫瘍

骨巨細胞腫、骨芽細胞腫、類腱線維腫などが代表的な疾患です。良性骨腫瘍よりも局所侵襲性が高いため、疼痛などの自覚症状や骨折を生じる頻度は高くなります。骨巨細胞腫では、稀に肺転移を合併することもあります。


3.原発性悪性骨腫瘍

骨肉腫、軟骨肉腫、ユーイング肉腫が代表的な疾患です。各腫瘍に特有の症状はありませんが、けがをしないのに痛みや腫れが出現し、長く続くことが多いようです。良性に比べ骨破壊が強く、発見が遅れると病的骨折や遠隔転移を生じ予後不良となるため初期診断が重要です。


4.原発性良性軟部腫瘍

脂肪腫、神経鞘腫、血管腫など、頻度が高い代表的な疾患です。通常、四肢や体幹部のしこりとして気づきます。痛み(自発痛や圧痛)を伴うこともありますが、多くは無痛性です。


5.原発性中間軟部腫瘍

異型脂肪腫様腫瘍、デスモイド型線維腫症などが代表的な疾患です。良性軟部腫瘍と同様に四肢・体幹部のしこりとして気づかれることが多く、多くは無痛性です。


6.原発性悪性軟部腫瘍

脂肪肉腫、平滑筋肉腫、未分化多形肉腫、横紋筋肉腫、滑膜肉腫などが代表的な疾患です。良性や中間の軟部腫瘍と同様に、四肢や体幹部の無痛性のしこりとして気づかれます。急速に大きくなるものや5cmを越える硬い腫瘤は悪性の可能性が高く注意が必要です。


7.転移性骨・軟部腫瘍

癌(肺癌、乳癌、腎癌、前立腺癌など)が、骨や軟部に転移することがあります。転移性軟部腫瘍はかなり稀ですが、転移性骨腫瘍は悪性骨腫瘍の大半を占めます。がん医療の進歩により、がん患者の生存率は右肩上がりに改善しています。そのため転移性骨・軟部腫瘍の発生頻度も年々増えています。肉腫が骨・軟部に転移する場合もあります。

骨・軟部腫瘍を専門とする施設で集計した各疾患の総数は以下の通りです。


日本における骨腫瘍登録数(2019年)

骨・軟部腫瘍グループ

日本における軟部腫瘍登録数(2019年)

骨・軟部腫瘍グループ

骨・軟部腫瘍の診断

骨・軟部腫瘍の問診では、患者年齢、既往歴や家族歴、臨床症状の詳細な聴取から始まり、理学所見と画像所見を参考にして診断します。様々な画像診断ツールの中で、 単純X線・超音波・CT・MRI・核医学検査(タリウムシンチグラフィー、FDG-PET)などが使用されます。
骨腫瘍の場合、患者年齢、発生部位、特徴的な単純レントゲン所見から多くは診断可能であり、CTやMRIを行うことにより良悪性の判定はさらに確実に行えます。軟部腫瘍の場合は、患者年齢や発生部位は重要なヒントになりますが、特徴的な画像所見を示すことが少なく、多くは診断不能です。一般的に、深在性(筋膜より深いところ)で5cmを越える弾性硬の腫瘤は悪性を疑います。最終的には病理組織学的な診断が重要であるため、良悪性の判定が困難な場合は腫瘍組織の一部を採取する生検(針生検、切開生検、切除生検)が必須であり、組織学的な評価が行われます。
我々臨床医だけでなく、放射線診断医や病理医との円滑な情報交換(Jaffe’s triangle)のもと、迅速かつ正確な診断を行えるよう日々努力しております。前述したように、骨・軟部腫瘍はその稀少性と多様性から診断が難しく、不適切な生検や治療が患者の予後に悪影響を及ぼすこともあります。悪性の可能性がある場合には、その後の治療も考慮して骨・軟部腫瘍を専門とする医師がいる病院で診断を受けることが大切です。青森県において、骨・軟部腫瘍を専門とする医師が常勤しているのは当院のみです。

骨・軟部腫瘍グループ

骨・軟部腫瘍の治療

病理組織診断に応じて治療方針が決定されます。良性腫瘍や良悪性中間腫瘍に対しては、正常組織(神経、血管、筋肉など)を犠牲にしない腫瘍内切除(掻爬など)や辺縁切除が行われます。肉腫に対する治療の基本は広範切除(腫瘍を周囲の健常組織で包むように摘出すること)ですが、術後の身体の機能を最大限に引き出せるように患肢温存・再建手術を行っています。人工関節による関節再建の他、自家骨・自家処理骨(当科では液体窒素を用いた凍結処理骨を主に利用)・人工骨を用いた再建、マイクロサージャリーを応用した再建を手掛け、肉腫患者の9割以上で患肢温存が可能となりました。体幹部(胸壁、後腹膜腔、骨盤など)に発生し重要臓器に隣接する腫瘍の場合、呼吸器外科、心臓血管外科、消化器外科、泌尿器科と合同で手術を行うこともあります。分子標的治療のめざましい進歩により癌患者の生命予後が改善され、癌骨・軟部転移症例に対してもQOL改善を目的とした手術治療を積極的に行っています。また、コンピュータ支援手術の普及に伴い、2016年春から術中CTナビゲーションシステム(O-arm及びStealthStation、Medtronic社)が当院に導入されました。脊椎や骨盤などの体幹部原発悪性骨・軟部腫瘍に対して、より精密で安全な手術が可能となったことから、今後の治療成績向上が期待されます。

良性・中間軟部腫瘍に対する手術

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良性骨腫瘍に対する手術

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中間骨腫瘍に対する関節温存手術

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四肢原発悪性軟部腫瘍に対する治療

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四肢原発悪性骨腫瘍に対する治療

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四肢原発悪性骨腫瘍に対する治療

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腹膜原発悪性軟部腫瘍に対する集学的治療

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転移性骨腫瘍に対するQOL改善のための手術

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体幹部原発悪性骨腫瘍に対するナビゲーション手術

骨・軟部腫瘍グループ

肉腫では、症例に応じて化学療法も行われます。骨肉腫、ユーイング肉腫などの骨原発肉腫はもちろん、脂肪肉腫、平滑筋肉腫、滑膜肉腫など軟部原発肉腫に対しても化学療法を行っています。小児腫瘍患者は小児科主導で、成人腫瘍患者は当科や腫瘍内科主導で、症例に応じて術前・術後・緩和的な化学療法を行っています。また放射線治療科とも連携し、症例に応じて術前・術後・緩和的放射線治療を計画し実践しています。遠隔転移のない切除困難な体幹部原発巨大肉腫に対しては、化学療法を併用しながら粒子線治療(重粒子線、陽子線)を選択する場合もあります。
1985年から2020年までに、当科で治療が行われた高悪性度骨肉腫65例の疾患特異的生存率は、初診時転移がない症例(M0)で76%、初診時転移がある症例(M1)で40%と良好な成績でした。あらゆるスペシャリストが最大限の力を発揮する集学的治療により、世界レベルの骨・軟部腫瘍診療を提供できるよう日々心がけています。


切除不能な体幹部原発肉腫に対する重粒子線治療

骨・軟部腫瘍グループ

当科における高悪性度骨肉腫の治療成績(1985-2020年)

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骨・軟部腫瘍グループの手術実績(総数)

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骨・軟部腫瘍グループの手術実績(悪性、中間腫瘍)

骨・軟部腫瘍グループ

骨・軟部腫瘍グループの手術実績(良性腫瘍)

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