受賞・表彰

第113回東北整形災害外科学会 Most Downloaded Article Awardを受賞して

JCHO 秋田病院 整形外科 佐々木規博

 このたび第113回東北整形災害外科学会 Most Downloaded Article Awardを受賞いたしましたので、ご報告いたします。この賞は本年東北整形災害外科学会初めての試みとして行われたもので、東北整形災害外科学会雑誌の掲載論文のうち医学論文検索サイト「医中誌Web」上で、昨年1年間で最もダウンロード数が多かった上位3つの論文に与えられたものです。論文のタイトルは「膝蓋腱断裂と脛骨粗面裂離骨折を同時に認めた1例」です。
 膝蓋腱断裂、脛骨粗面裂離骨折は臨床の現場でそれぞれ別々に経験する症例ですが、同時に損傷することは珍しく、本論文ではバスケットボール中に起きた15歳男性の症例を報告させていただきました。実際に渉猟し得た中ではこの症例報告で8文献10例目であり、その珍しさがわかっていただけると思います。治療に関しては健側の膝蓋骨高位を参考に骨接合術と腱縫合術を施行し、術後6か月でスポーツ復帰できました。この珍しい合併損傷の発生メカニズムは、過去の報告から大腿四頭筋の過度な収縮によりまず脛骨粗面剥離骨折が生じ、続く大腿四頭筋の収縮と膝関節の屈曲により膝蓋腱断裂が発生すると考えられておりますが、それだけではなく我々は膝周辺の力学的脆弱性の変遷も関与していると考えました。つまり脛骨粗面剥離骨折が脛骨粗面骨端核癒合以前の13~16歳に生じやすいということと、膝蓋腱断裂が脛骨粗面骨端核癒合以後の20歳代に生じやすいということから考えると、15歳前後の年代は脛骨粗面骨端核癒合の時期であり、力学的脆弱性が脛骨粗面から膝蓋腱に移行する時期と一致するため、この力学的脆弱性の移行期に上述した発生メカニズムが加わったため、膝蓋腱断裂と脛骨粗面剥離骨折が同時に発生したと考察させていただきました。
 今回この賞を受賞したということは、この症例の珍しさと発生メカニズムの考察が多くの先生方の興味を引いた結果だと考えております。また実際に同様の症例を経験された先生方の参考になったのであれば大変嬉しく思います。
 最後にご指導いただきました石橋教授、津田教授、塚田先生をはじめ教室の多くの先生方にこの場をお借りして御礼を申し上げたいと存じます。今後とも学会活動を通じて臨床、研究にと精進してまいりますので、今後ともご指導・ご鞭撻のほどをよろしくお願いいたします。


第113回東北整形災害外科学会 Most Downloaded Article Awardを受賞して

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