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留学寄稿

Memorial Sloan Kettering Cancer Center短期留学報告 大鹿周佐

 平成27年10~12月の3か月間、New York City(NYC)にあるMemorial Sloan Kettering Cancer Center(MSKCC)へ短期留学させていただきましたので、皆様にご報告申し上げます。皆様ご存じとは思いますが、NYCは全米最大の経済都市です。ビジネス・人材・文化・政治などを対象とした総合的な世界都市ランキングで世界1位と評価される、世界中の人々が訪れたいと思う魅力ある大都市です。MSKCCはNYCの中で一番栄えている行政区であるマンハッタンのほぼ中心に位置し、全米でも3本の指に入る有名なCancer Centerです。
 私が見学したのは骨・軟部腫瘍を専門とするOrthopaedic Oncologyです。世界的に有名な腫瘍整形外科医であるDr. John H. Healeyのもとで、外来・手術・カンファレンス(術前術後、リサーチ、Tumor boardなど)を中心に見学しました。骨肉腫に対する骨盤半截術、新しい人工関節機種であるreverse shoulder arthroplasty、低悪性度軟骨肉腫に対するcryosurgeryなど、ダイナミックな切除及び再建術をたくさん見学することができました。外来ではhappyな長期生存例だけでなく、腫瘍用人工関節の破損や感染など、我々も普段から悩んでいるような合併症に立ち向かうDr. Healeyを見て、悩みどころは日本もアメリカも同じだと親近感を持ちました。Dr. Healeyは“Knowledge is power.”と若手に話すくらい豊富な知識を兼ね備え、患者に説明する際も病気の生存率・再発率など、具体的な数字を挙げながら丁寧に説明する姿が印象的でした。また教育熱心でもあり、若手医師に診断や治療の根拠をしっかり考えさせながら診療の指導をする姿にはとても感心しました。丁寧な患者への説明や若手への指導により、外来終了時間はたいてい21時以降だったので正直辛かったですが、腫瘍整形外科医として、そして指導医としても一流のDr. Healeyのもとで3か月間を過ごせたことで、自分自身が到達すべき目標を再確認することができました。また、海外(イタリア、エジプト)から留学にきているDr.とも交流を深めることができ、とても充実した留学生活となりました。診療以外に、自由の女神像、ブロードウェイミュージカル、ワンワールドトレードセンター、メトロポリタン美術館など多くの観光名所を、そしてハロウィーン・ニューヨークシティマラソン、サンクスギビングデー、クリスマスなどアメリカの伝統的な行事も体験でき、とても楽しい3か月間を過ごすことができました。
 今回の留学の機会を与えて下さいました藤病院長、石橋教授、国立がん研究センターの川井先生、骨・軟部腫瘍グループ上司の柳澤先生、そして大学スタッフの皆様に心より感謝申しあげます。この経験を生かして、弘前大学整形外科がさらに飛躍できるよう、全力を尽くしたいと思います。

留学寄稿 大鹿周佐


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