受賞・表彰

第119回 東北整形災害外科学会 若手症例報告セッション 優秀演題賞 受賞報告

十和田市立中央病院 整形外科
中野 綾

 この度、2022年6月3日から4日に宮城県仙台市で行われた第119回東北整形災害外科学会 若手症例報告セッション4において優秀演題賞を受賞致しましたので、ご報告させて頂きます。私の演題名は「左大腿骨頚部骨折を発症したBrown tumor合併副甲状腺癌の1例」です。副甲状腺癌は、原発性副甲状腺機能亢進症の5%以下に発生する稀な疾患であり、Brown tumorは、副甲状腺機能亢進症の進行に伴い生じる反応性の溶骨性病変です。今回は、Brown tumor合併副甲状腺癌により左大腿骨頚部骨折を生じた1例を経験したので報告し発表させていただきました。
 症例は24歳男性で、歩行中に転倒し、左鼠径部痛のため歩行困難となり、同日、当院救急搬送となりました。X線、CTにて左大腿骨頚部骨折(Garden IV)および全身に多発する骨吸収像を認め、血液検査では、高Ca血症、低P血症を認めました。同日、腰麻下に左大腿骨骨接合術を施行し、術後免荷としました。骨密度は大腿骨YAM値39%で重度骨粗鬆症を認め、PTH-intact:1179pg/mL、造影CT、副甲状腺MIBIシンチで左副甲状腺腺腫が疑われました。術後高Ca血症の悪化を認めたため補正し、初診後4週間後に、他院外科で左下副甲状腺腫瘍および甲状腺左葉切除、リンパ節郭清を施行し、術後病理は、副甲状腺癌の診断でした。術後は低Ca血症を認め、大量のカルシウム、ビタミンDの補充を行い、また、左大腿骨頚部は術後内反転位を認めましたが、免荷期間を延長した結果、術後7ヶ月で骨折部に仮骨を認め、術後10ヶ月で骨癒合し、全荷重歩行可能となりました。本症例は、副甲状腺癌によりPTH-intactが上昇し、多発するBrown tumorを生じた結果、大腿骨頚部骨折を引き起こしました。早期診断・早期治療また、カルシウムコントロールおよび術後免荷により良好な成績を得ることができました。
 今回の受賞にあたり、ご指導を頂きました石橋恭之教授、板橋泰斗先生、大石裕誉先生、大鹿周佐先生をはじめ、十和田市立中央病院整形外科の先生方、弘前大学整形外科の先生方に深く感謝申し上げます。これからも日々、精進して参りますので、ご指導、ご鞭撻の程、宜しくお願い致します。


第119回 東北整形災害外科学会 若手症例報告セッション 優秀演題章 受賞報告

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