留学紀行

留学紀行 浅利 享

留学先 University of Miami, Miami Project to Cure Paralysis

 現在、米国フロリダ州にあるUniversity of Miami(UM)のMiami Project to Cure Paralysisへ留学させて頂いております。平成27年3月にMiami国際空港に降り立ってから、もうすぐ1年になろうとしています。1990年代に当教室から3名の先生方がご留学され、2011年からは私で4人目の留学になります。当教室の海外留学経験のある多くの先生方から、基本的な海外生活でのセットアップ方法から苦しい留学生活を生き抜くコツまで多くのお話を直接お聞きすることが出来たのは大きな財産でした。また海外留学に際し、多くのサポートを頂ける環境がある教室に所属していて本当に良かったと実感しています。

 米国本土48州最南端にあるフロリダ州はsunshine stateとも呼ばれ、州木はセイバル椰子、州花はオレンジの花、州哺乳類はマナティとイルカという南国の楽園です。そのフロリダ州の最南端に位置するマイアミは人口約250万人(ヒスパニック系が約6割)の大都市で、冬の現在でも日中の平均気温は23℃という非常に温暖な土地です。世界的に有名なマイアミ・ビーチやカリブ海クルーズを目的にシーズンを問わず沢山の観光客が訪れています。また少し北に足を延ばせばディズニーランドやユニバーサルスタジオのあるオーランドがあり、南部にはフロリダキーと呼ばれる美しいビーチを持つ島々があります。最近ではイチローがマイアミマーリンズへ移籍してきたことで、日本でも有名になってきている事と思います。

 中南米が近いことからラテンの香りが漂い陽気な人が多い印象ですが、時間や約束にはlooseな事も多く、仕事でも生活でも忍耐が必要です(その内、慣れてしまいますが)。日本人は米国の他州に比較すると少なく、マイアミ周辺には約700人が住んでいるようですが、街で見かけることは殆どありません(日本人だと思い近づいて言語を聞くと、アジア圏の他国の方です)。現在UMで働いている日本人研究者は12家族のみですが、その分繋がりは深く、公私ともお世話になっております。
 さて私の所属しておりますMiami Projectは1985年、NFLの名選手であったNick Buoniconti氏が息子Marc氏の脊髄損傷受傷を契機に、Dr. Greenらと共に立ち上げたプロジェクトで、中枢神経の再生を目指した基礎・臨床研究を行っている世界有数のリサーチセンターです。七階建ての巨大なビル一つが研究施設で、世界中から研究者が集まり、中枢神経再生を目指し基礎から臨床まで一丸となって日夜研究をしております。私のボスであり本プロジェクト責任者のDietrich教授が中心となり、中枢神経損傷に対する低体温療法の他、損傷脊髄に対するシュワン細胞移植、ヒト神経幹細胞移植などの臨床治験が進行中です。また週に1度は世界中から中枢神経再生を専門にしている有名な先生がご講演に来られ、教科書や論文でしか知らなかった先生を目の当たりにすることも出来ます。ちょうど1週間前には緑色蛍光タンパク(GFP)発見で2008年のノーベル化学賞を受賞されたDr. Martin Chalfieのご講演を拝聴することでき、心から感動致しました。Miami Projectで私は脊髄損傷モデル動物への薬物投与実験と、最新の機器を使用しての幹細胞移植実験を行っております。現在は帰国前に実験データを整理したり、次のstepへ進むためのPilot studyを行っている最中です。

 このような海外留学生活で、世界レベルの研究を垣間見る事が出来たのは私の大きな財産になることは間違いありませんが、私ばかりの財産とはならないように、帰国後もこの経験を教室の先生方や多くの患者さんに還元できるように努力を続けたいと思います。最後となりましたが、このような貴重な経験をする機会を与えてくださった、石橋教授および教室員の先生方、整志会の川岸会長はじめ会員の先生方に心より感謝申し上げます。また、いつも精神的に大きく支えてくれた家族にも感謝させて下さい。ありがとうございました。

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