一般向け診療・研究グループ紹介


一般向け関節グループ紹介

股関節の病気

股関節は体重を支える大きな関節であり、人が立って歩くときに最も重要な関節のひとつです。股関節が悪い場合の主な症状は、歩いたときの脚の付け根の痛みです。また、おしり、太もも、膝の痛みを訴えることも少なくありません。
症状が進み関節に変形が生じると関節の動きが制限され、靴下をはく、足の爪切り、正座、しゃがみ込みなどの日常動作が難しくなります。

股関節を痛がる場合には、以下の病気の可能性があります。

大人

変形性股関節症
大腿骨頭壊死症
関節リウマチによる股関節症


子ども

化膿性股関節炎
ペルテス病
大腿骨頭すべり症


その他、赤ちゃんで股関節の開きが悪い場合は、発育性股関節形成不全(先天性股関節脱臼)が疑われます。

代表的な股関節の病気について説明します。



1. 変形性股関節症

原因・病態
変形性股関節症は、はじめに関節軟骨がすり減り始め、最終的には骨の変形をきたす病気です。日本では原因がはっきりしない一次性(特発性)股関節症は15%と少なく、発育性股関節形成不全(先天性股関節脱臼)、臼蓋形成不全、外傷などが原因で生じる二次性股関節症が約80%を占めています
診断
X線写真にて診断しますが、必要に応じてCTやMRIなどの精査が必要です。
治療
保存治療としては、体重のコントロール、杖の使用、股関節周囲の筋力強化訓練などがおこなわれます。痛みが強い場合に消炎鎮痛薬が有効ですが、消炎鎮痛薬を内服して無理をすれば軟骨の破壊は進みます。
手術治療では、股関節の状態により寛骨臼または大腿骨の骨切り術を行う場合がありますが、変形が高度な場合には人工股関節置換術を行います。


2. 大腿骨頭壊死症

原因・病態
股関節の一部である大腿骨の骨頭部分の骨が死んでしまう病気を大腿骨頭壊死症といいます。お酒をたくさん飲む人やステロイドという薬を大量に内服している人ではリスクが高いといわれていますが、その機序はまだわかっていません。死んだ骨はだんだん崩れてしまい、大腿骨頭の変形が生じます。
診断
X線写真やMRIにて診断されます。特に、MRIは早期診断に有用です。必要に応じてCTや骨シンチを行うことがあります。
治療
保存治療では、体重のコントロールや杖を使用することで、活動性を制限します。病気の範囲が広く、体重のかかる場所である場合は、保存治療の適応はほとんどありません。
手術治療では、病気の範囲が狭く大腿骨頭の変形が強くない場合は大腿骨骨切り術が考慮されますが、病気の範囲が広く、変形がつよい場合には人工骨頭置換術や人工股関節置換術が必要となります。


3. 発育性股関節形成不全(先天性股関節脱臼)

原因・病態
周産期や出生後の発育過程で脱臼が生じることがわかってきたため、最近では先天性股関節脱臼というより発育性股関節形成不全と呼ばれるようになりました。脚を伸ばした位置でオムツをするなどの間違った育児習慣によって、赤ちゃんの股関節が外れていくことが多いと言われています。以前は出生数の2%前後の発生率でしたが、近年はその約1/10 に減少しています
診断
乳児診断では股関節の開きが悪い(開排制限)、大腿のシワが非対称、脚の短縮がみられる場合には異常を疑い、X線検査やエコー検査にて画像診断を行います。
治療
乳児期に発見された場合、リーメンビューゲルと呼ばれるひも型の装具療法を行います。この装具で80%前後が整復されますが、もし整復が得られない場合は、オーバーヘッド・トラクションといわれる牽引療法が行われます。牽引療法でも整復されなかった場合は手術を要することになります。
装具療法、牽引療法または手術治療にて整復が得られたら、その後の成長を定期的に経過観察いたします。もし、臼蓋形成不全など残存した場合、骨盤骨切り術などのいわゆる補正手術を行います。


関節リウマチ

関節リウマチとは自己免疫疾患の一つであり、関節内の滑膜という組織を攻撃する因子(自己抗体)が形成されることにより、滑膜が異常増殖し関節内に炎症を生じる疾患です。進行すると関節の破壊や変形が生じ、その破壊された関節によって様々な障害を生じる可能性があります。



症状
手指や足趾が腫れて、朝方にこわばりを感じることから発症する人が多いようです。人によっては膝関節や股関節、肘関節などにも、腫れや痛みが生じます。関節リウマチは、全身の関節で炎症が生じる病気であるため、貧血、発熱といった症状がでることもあります。
脊椎に関節リウマチの変化が生じると、頚椎(首の骨)で、「ずれ」が生じ、脊髄が圧迫され、手足の麻痺や、呼吸障害が生じることがあり、悪化すると生命に関わります。
症状の程度や腫れが生じる関節は人によって様々で、多くの人が普通の人と同じように生活を送っていますが、症状が進行しないように、早期の診断・治療が重要視されています。
原因・病態
遺伝的要因や細菌・ウイルスの感染などが考えられていますが、原因はまだよくわかっていません。
診断
関節リウマチを確実に診断できる検査は存在しません。そのため、病歴や血液検査、画像検査等を総合的に評価して診断することが必要になります。
治療
関節リウマチでは早期の治療が大切です。 薬物療法が基本になりますが、以前は症状を抑える抗炎症剤(非ステロイド、ステロイド)が腫瘤でしたが、1990年代以降、多くの抗リウマチ薬が開発され、現在はリウマチの進行を抑え、出来れば進行を止めてしまうための薬物投与が行われています。
抗リウマチ薬の中心は、1999年に承認されたメソトレキセートであり、高い関節破壊抑制効果を示しています。2003年以降は生物学的製剤の投与が可能となり、さらなる効果をあげています。
しかし、免疫に作用する薬であるため、副作用として感染症が生じることがあります。細菌や結核による肺炎には特に注意が必要であり、発熱や咳、息苦しさなどの呼吸の以上を感じた場合は早期の検査が必要になります。
残念ながら、破壊が進行した関節は薬物では治すことはできませんが、手術によって症状を軽減し、日常生活でまた使えるようにすることが可能になる場合があります。膝や股関節では人工関節置換術により、歩行が改善することが期待できます。また、指が急に伸ばせなくなる(伸筋腱断裂)場合や、首の骨がずれる(環軸椎亜脱臼等)を生じた場合には、手術が必要になることもあります。
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