一般向けスポーツ整形外科グループ

反復性肩関節脱臼

肩関節脱臼は、ラグビーや柔道などで肩関節を過度に外転(腕を後ろにもっていかれたり)した場合に発生します。一度脱臼した肩は、病院などで整復(脱臼を戻すこと)を必要とすることもありますが、自然に戻ることもあります。初めて肩を脱臼した場合は、三角巾やバンドで3-4週間程度しっかり固定することで再発率は低下しますが、若い人では多くの場合反復性脱臼に移行します(10歳代で90%、20歳代で70-80%といわれています)。再発する脱臼・亜脱臼を予防するためMRI検査を行った後、関節鏡を用いて損傷した組織の修復を行います。入院は約3~4日間でスポーツ復帰までは約6ヶ月です。

反復性肩関節脱臼

腱板損傷

中年以降に多い疾患ですが、腱板を損傷すると肩の痛みが続いたり、肩を挙上できなくなります。リハビリテーションも行いますが、症状の改善がなければ関節鏡を用いて腱板の修復を行います。術後は2-3週間外転装具で固定しますが、肩関節の拘縮(硬くなること)を予防するため、術後2-3日で疼痛が軽快したら訓練室でリハビリを開始します。仕事の内容にもよりますが、術後3ヶ月頃から復帰できます。

腱板損傷

野球肘

内側型野球肘では保存療法を原則とします。外側型野球肘は離断性骨軟骨炎といわれ、進行すると骨軟骨が剥がれてしてしまいます。MRIを行い、手術適応を決定しています。進行した場合には剥がれた骨軟骨を固定するか、自分の骨軟骨を肘に移植する手術を行います。入院は約3~4日間で投球再開までは約3ヶ月で、投球が可能となるまで治療とリハビリテーションを行います。

野球肘

前十字靱帯損傷

ACL断裂はスポーツ外傷のなかで最も高頻度に生じるものとされています。ジャンプの踏み切りや着地、急激な方向転換、急停止などの動作で受傷することが多く、これらは非接触型損傷と呼ばれ、バスケットボール、バレーボール、スキーなどで発生します。これに対して相手選手との接触プレーによって、過度の外力が膝にかかって受傷するものは接触型損傷と呼ばれ、柔道・相撲といった格闘技やサッカー、ラグビーなどで多く発生します。膝の不安定性を来すため放置すると半月板損傷や軟骨損傷を生じることがあり、正常な膝機能を回復させるためには靭帯の再建手術が必要です。ACL再建術は、自分の体の中のある腱組織片を十字靱帯に置き換えて移植します。この再建靭帯が「新しいACL」になります。約95%の患者様で膝関節の不安定性と痛みが改善し、スポーツ活動や日常生活に復帰することが可能となります。また、将来の関節症変化(関節軟骨の変性)を最小にすることができます。移植腱には、二つの選択肢があります。

1.膝蓋腱
一つは膝蓋骨と脛骨の間にある膝蓋腱の中3分の1を骨付きで採取し、使用するものです。この腱は、単独で使用する腱としては最も強度が高く、骨に直接固定するため、早期から積極的なリハビリテーションが可能になります。しかし、膝前面の痛みと初期の膝伸展筋力の回復に時間を要する可能性があります。移植腱の固定には、チタン製ボタンと生体吸収性スクリューを用います。
2.膝屈筋腱
もう一つは、膝を屈曲するときに作用する膝屈筋(ハムストリング)のうち、内側の比較的小さな筋の腱を用います。通常は一本採取して半切し、それぞれを折り返して二重束として移植します。移植腱採取部の痛みが少ないこと、膝伸展筋力の低下が少ないことが利点です。移植腱はチタン製のボタンとディスクで固定します。

※移植腱の選択は、スポーツ種目、体格、復帰時期等を総合して判断します(医師とご相談下さい)。
現在はナビゲーションシステムを併用した関節鏡手術を行っています。入院は2週間程度で、スポーツ復帰までは約8-9ヶ月です。


前十字靱帯損傷

前十字靱帯損傷

半月板損傷

外傷や変性で半月板が損傷されると膝の痛みの原因になります。MRIで診断し、リハビリテーションなどで症状が治まらない場合には、関節鏡手術で半月板を縫合もしくは部分切除を行います。入院は1週間程度で、スポーツ復帰までは約3-6ヶ月です。

半月板損傷

膝蓋骨不安定症

膝蓋骨不安定症とは、膝蓋骨と大腿骨の形の相性が悪かったり、膝蓋骨と脛骨(スネの骨)をつないでいる膝蓋腱の走行に異常があったり、膝蓋骨がずれないようにしている靱帯が緩んでいたり逆にきつ過ぎることにより、膝蓋骨が正常な位置より外側にずれる疾患です。重症例では、スポーツ活動や日常生活動作で外側に脱臼することがあり(膝蓋骨脱臼)、一度脱臼すると不安定性が強くなり脱臼を繰り返す状態(反復性膝蓋骨脱臼)に移行することがあります。治療には以下の選択肢があります。

  1. スポーツ活動の制限や日常生活動作の指導
  2. 筋力訓練などのリハビリテーション
  3. 膝サポーターの装着
  4. 手術

通常は、まず手術以外の方法(保存治療)である①②③を組み合わせて行い、症状がよくなるか、脱臼が防げるかを判断します。しかしながら重症例では、改善が見られない場合が多く、手術治療を検討せざるをえない場合が少なくありません。脱臼の際には膝蓋骨と大腿骨の軟骨に傷がついたり、はがれたりすることがあります。何度も脱臼を繰り返すと、軟骨の損傷がすすみ変形性関節症に進行することがあるため、保存治療で効果がえらえない場合には早い時期に手術治療を行うことが望ましいと考えられています。

 現在、一般的に行われている手術治療には以下のものがあります。

  1. 脛骨粗面前内側移行術
  2. 内側膝蓋大腿靱帯再建術
  3. 外側膝蓋支帯切離術

 手術では、上に列挙した手術を膝の状態に応じて行います。まず①の脛骨粗面前内側移行術ですが、これは膝蓋腱の脛骨付着部(脛骨粗面)が外側にずれていることにより膝蓋骨が脱臼する場合に行う手術です。脛骨粗面の場所を膝蓋骨が外側に脱臼しなくなるまで内側と前方に移動し、その場所で手術用ネジで脛骨に固定します。
 これに対して、膝蓋骨が外側にずれないようにしている内側膝蓋大腿靱帯が極端に緩んでいたり、脱臼により切れてしまったことにより膝蓋骨が脱臼する場合には、②の内側膝蓋大腿靱帯再建術を行います。
外側膝蓋支帯切離術は膝蓋骨外側にある組織の緊張が極端に強い場合に行いますが、単独で行われることは少なく、通常は①や②と組み合わせて行われます。また不安定性が極端に強い場合や、再手術の際には①~③の全てが必要になる場合もあります。
手術後のリハビリテーションはそれぞれの膝の状態や手術内容によって若干異なります。通常は術直後から膝伸展装具固定(伸ばした状態)としアイシングを行います。膝の可動域訓練(曲げ伸ばしの訓練)は痛みの範囲内で早期から(術後1~3日以内)開始します。これとともに松葉杖による歩行訓練を開始し、術後2~3週頃には膝蓋骨サポーター装着して杖なし歩行が可能となり、退院可能となります。

膝蓋骨不安定症

膝蓋骨不安定症

変形性膝関節症

膝の軟骨が摩耗し、多くは内反変形(O脚)となります。薬、注射、装具などで症状が軽快しない場合には手術を選択します。40~60代では骨切り術(骨を切って変形を矯正する手術)、高齢で変形が著しい場合は人工関節置換術を行います。どちらの手術もナビゲーションシステムを用いています。骨切り術の利点:自分の膝が温存されるため、術後に農作業など比較的重労働を行っても良いこと、膝の曲がり(関節可動域)が保たれることなどが挙げられます。
骨切り術の欠点:骨を切る手術なので、骨癒合に時間がかかること、また人工関節置換術に比べると、除痛の点では劣ることなどが挙げられます。骨切り術では術後2ヶ月ほどで通常の歩行が可能になります。人工関節では術後数日で歩行訓練を開始し、約3-4週間で退院できます。

変形性膝関節症

変形性膝関節症

変形性膝関節症

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