受賞・表彰

2014年度 日本関節病学会優秀論文賞 受賞報告


弘前大学大学院医学研究科整形外科学講座 佐々木 英嗣

 2014年度の日本関節病学会におきまして、優秀論文賞の表彰をしていただきました。いつもの年会費請求の封筒と思って開封したところ、上記の内容でしたので、とても驚きましたが、このような素晴らしい賞をいただき、大変光栄に思っております。この場をお借りして受賞の報告と研究内容の紹介をさせていただきます。
 本賞受賞論文名は「変形性膝関節症有病者における血清ヒアルロン酸濃度と膝症状の経時的変化との関連 - 3年間の追跡調査から –」です。当科ではこれまで、当学社会医学講座を中心に行っている岩木健康増進プロジェクトへの参加者を対象に、一般住民における変形性膝関節症(膝OA)の疫学調査を行ってきました。夜間痛や日常生活に伴う膝症状の変化を縦断的に観察、研究しております。通常X線画像で行われる膝OAの診断に、関節内における滑膜炎を反映するbiomarkerである血清ヒアルロン酸濃度での評価を行っていることが当科の研究の特徴となります。過去には横断調査から血清ヒアルロン酸濃度がX線画像の重症度と相関することを報告しております。本研究はその縦断的解析の一つとして、3年間追跡可能であった331例を対象として膝症状の変化との関連を検討しております。3年後には約30%で膝症状が悪化しており、特にPain、ADL、Sportsの項目に関してはスコアの悪化した群では維持していた群に比べ血清ヒアルロン酸濃度は有意に高値を示していました。生活環境を含む交絡因子で補正したロジスチック回帰分析からも、血清ヒアルロン酸濃度が高値であれば3年後のpain, ADL, Sportsの項目は悪化するという関連が明らかとなりました。膝症状悪化の予測因子として確立させるためには、X線画像と合わせての、より長期的な観察が必要と考え、調査を継続しているところです。
 本研究を行うに当たりまして、研究デザインの考え方や論文作成の基本からご指導いただきました石橋恭之教授、中路重之教授はじめ、ご協力いただきました皆様にこの場をお借りして深く御礼申し上げます。また、今後も臨床での疑問に向かい合い、様々な角度から解決に向けて取り組んでいけるよう努力していく所存ですので、ご指導のほどよろしくお願いいたします。


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